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2008年09月03日
染料のこと

染物職人の本日、まだ風邪が完治していないので少々ペースダウンの仕事となりました(師匠、ごめんなさい)。撥水加工をしたシルクの生地にシルクスクリーンでのプリント作業、私が染めた布がジャケットとベストの揃いに仕立てられます。使っている染料は合成染料のひとつ酸性染料(商品名イルガラン、絹・羊毛などの蛋白繊維を染めるのに使う)。このエコなご時世、草木染めじゃいけないのか?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、草木染めのあえてデメリットを挙げると「品質が一定しない(いつも同じ色を出すのが難しい)」「濃色に染めにくい」「堅牢度が弱い(摩擦・洗濯・日光・熱などに弱い→退色や変色)」お客さまがよほどご理解いただける方でないと、商品として草木染めを使うのはなかなか難しい。確かに草木染めのスカーフやバッグなど流通しているものもたくさんありますが、セミオーダーのここの服はジャケットだと7〜10万円くらいになる品物。そんな大金を払った服がワンシーズン着ただけで色が焼けても「環境に優しい草木染めなんですよ」という理由で納得していただけるのでしょうか。家事を担うご婦人方に「色がけっこう落ちるので別に洗って下さい、だいぶ色は薄くなりますが草木染めなので」という理由でいつまでも色が落ちるブラウスに手洗いを強いるのは?話がちょっと逸れますが、人間国宝の小宮康孝氏は伝統技法である江戸小紋を染め続けていますが、使う染料はこの酸性染料。お客さまに色落ち色焼けするものはお渡し出来ないと試行錯誤続けての結果だそうですが、結局それは自分の染めたものを買い求めて長く使っていただくお客さまのためでもあると(小宮さん関係の記事はたくさんありますが、例えばこちら)。私自身、今はちょっとお休みしている染物仕事をしていたときも「これは草木染めじゃないのね?」と何度訊ねられたことか。天然嗜好がいけないと言っているのではありませんし、私は化学信仰者でもない。新しい技術や染料の開発で今の仕事が大幅に変わる可能性だって大いにあります。ただ価値長所・欠点短所を比べ考え試した末に選んだスタイルを「エコじゃない」だけでばっさり切り捨てるのは、あまりにも短絡的ではないかと…たまに思うことがあるのです。
投稿者 あずさ*cheera* : 2008年09月03日 23:23